静物、例えばテーブルの上にフルーツを置いて描くとします。
一般の人がよくいう、いわゆる「バック」といわれるものについて研究してみます。
バックという考えでは、空気感がでなく、真空状態になってしまっている絵をよく見ます。
セザンヌの静物画をみると、驚くべき空気感を感じます。
これを解説すると
オレンジとキュウイの静物画が完成しました。約4時間でできました。コレ以上やると重くなりそうなので筆をおきました。
この絵を例にして考えていきます。
コンポートの上の黄色いグレープフルーツの周りの空間は、同系色で溶け込んでいるように見えます。
①境目がほとんど曖昧なところを残す、作るのがまず空気感を高める。
全部溶け込ませると形が崩壊するので、何個か選んで溶け込ませます。
次にオレンジの形ですが、真ん丸にするといきなり平板化して張り付いてしまうので、どこかの辺を鋭く
そぎ落とす気持ちで形を作ります。境目は、青か黒で思い切って描いて、描いているうちに消えていく漢字で書きます
②面ごとのタッチを、平筆で方向性をつけて入れます。
これは、セザンヌがよくやっていて、タッチを残すやり方です。丸筆でグラデーションをつけて丸みを出すより、
平筆で方向性をもって、シュシュといれると、フォルムが堅牢で、実在感をもつことが出来るのです。
白黒にして、タッチの方向問題を考察します。
タッチは、水平、垂直が基本になります。何故かというと、キャンバスは正方形や長方形なので格子上のタッチが絶対会うのです。
もしか、丸いキャンバスだったら、同心円状のタッチが合うのでしょう。
③斜めのタッチは奥行きをだします。遠近法を思い出すと、簡単に言えば「遠近法は斜めの線」ということが出来るのではないでしょうか。
格子を中心に、注意深くタッチを作っていきます。
白い布は、暖色と寒色をくっつける接着剤の役目をします。多くの画家が白い布を使用しています。
シロクロのグラデーションを使うと、いきなり古風な、地味なものになってしまうので、青とかモーブも使います。
④最後に、影問題を考察します。物を置いたら、下に影ができます。影を強調しすぎると昔風の絵になりますが、
上のものを受け止めるという意味での、影は必要になります。
影と同時に、物体を受けとめるフォルムとも考えられます。
基本は同心上に現れますが、几帳面に描くと全部お皿の上にのった感じになるので注意が必要です。
これが基本で、進めて行くうちに消えていきますが、痕跡を残していくようにします。