バルテュス氏の「夢見るテレーズ」撤去署名活動とは 絵画鑑賞

クリスマスに入ってきたニュースですが

ニューヨークにあるメットで展示中の「夢見るテレーズ」がいかがわしいとして撤去を求める署名活動が進んでいる。

バルテュス氏はフランス人で「20世紀最後の巨匠」とされた。

美術館は表現の自由を理由に拒否している。

米国ではハリウッド映画界の大物プロデューサーのセクハラ疑惑発覚を機に自らの被害体験を証言する動きが広がっており、撤去要求の背景にありそうだ。

{ニューヨーク共同2017.12.24)

バルテュス氏は日本と関係が深く、奥さんも日本人、節子さん。出会いは20と54の時、来日中に出会い、結婚することに。92歳まで生きたので、実に40年ものあいだ助け合い暮らした。

大の日本好き、勝新太郎の座頭市が好きで一緒に映っている写真がありますね

節子氏の手記に、彼は生き方、あり方、考え方すべてにおいて画家としての自分を通していました。生涯かけて美を追求する人だったのです。とありました。

兵役を終え、貧しい中でかいた絵は、パリで有名になるために、あえて、スキャンダラスな作品を初個展に並べたらしいですね。

「ギターのレッスン」は、初個展でもカーテンで隠され、限られた人しか見ることができなかったし、認められた後は、その絵を自ら封印し公開することはなかった。

これに比べたら、「夢見るテレーズ」はまだおとなしい作品ですね。似た構図の絵に、「少女と猫」という作品もあります。

「夢見るテレーズ」はとても重要な作品で、記念すべき初めての少女モデルだったこと。バルテュス氏は27歳、「少女とはこの上なく完璧な美の象徴なのだ」と。

巨匠というしかない実力と教養、芸術に対する深い造詣と愛情、節子氏によれば、

絵に対する姿勢は、それはもう新生児を扱う母親のような優しさと情愛に満ちていました。ということです。

モデルは、画家にインスピレーションを与えますが、それは、構図や色調、全体の雰囲気など要素の一つでしかなく、絵画に必要な要素は多いので、

特定のだれかではなくなる、あまり重要なことではなくなるのです。

バルテュス氏といえばスイスです。

だから、テレーズの肖像画ではないということができます。

そこを、理解できないと思われます。

美の象徴としての少女を、構図や色や、猫に至るまで緊張感と調和をあたえ、美しさ、静けさがある絵ですね。美の神様が下りてきた絵ですね。

メトロポリタン美術館は、バルテュスの画業、世界観、功績について分かりやすく説明するようにするときっと、その美しさに気付き、さらに見る人に訴えかけるのではないでしょうか。

彼のように、注意深く見つめ、秘められた美しさを描き表す画家はそうはいないと思うのですが。

 

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