油絵を描きます。暑い夏にトマトを描きます。
カンバスはP15です。横向きで使います。
M15も好みです。
しかし、F15は安く売られています。
Fサイズは、手ごろで調度良いサイズですが、
ちょうど良すぎで緊張感がないといえます。
PとMは細長で緊張感があります。
特に人物を描く場合は、PとMを縦に使うととってもいいです。
なぜかというと、Fだと、人物とテーブル、ドア、
部屋など人物以外のものが必要になるからです。
たまに、MやPにすると、やる気でます。
描く前に、木炭で、等分にしておきます。
ここに出現した、この一つの四角は、P15のキャンバスの相似形です。
だから、この線によるものは、この画面に対して必ず合う
ということができます。
始めに、この必ず合う引っ掛かりを配置しておくべきです。
この線は、テーブルの線や、床、壁の線として利用します。
この線は、完全固定ではないので、フキサチーフ(木炭固定スプレー)はスプレーしません。
しかしながら、この線は、木炭なので、次第に薄くなり消えていきます。
そして、最後には痕跡として残ります。
化石のように、見えなくなっても、底で生きる線になるのです。
この感覚は、人生を生きる上でのヒントとなります。
見えなくなっても、底には、しっかりした造形のストラクチャーが存在していた。
そのことに、生命感と感動が生まれるのです。
さて、木炭で線描きをしていきます。
一回では、感じがつかめないので、描いては消し
描いては消ししながら、
大体、10分ぐらいはそれを繰り返し、
手首の運動のつもりで、手と目をほぐしていきます。
雑巾が一枚真っ黒になり、鼻の穴も木炭の粉で黒くなったころ
感じがつかめてきます。
テーブルの上に置いたものの面を合わせます。
面を合わせるとは、しっかりとテーブルに物がのっかることを意味します。
アインシュタインの言う通り、ある物体があると、周りの空間はゆがみ、または共鳴します。
あるいは、反対方向のベクトルが発生するとも言えます。
テーブルの上の瓶の下の線を見てください。この意味は、
水面に反射するように、反対方向の反作用としてのマッスを示しています。
反対方向のベクトルです。
トマトやお皿はどうでしょう。
これは高さがないので、波紋が物体の底から響くようです。
実際には見えないけれど、波紋が広がっているとイメージすることで世界が広がります。
実際の人生ではどうでしょう、そのベクトルや波紋を意識することで、より深く理解することができるかもしれません。
自然を見る目、人間を見る目が変わってくるでしょう。
あなたの、心の窓の景色はこうやって変化していきます。
絵を描き続けるとはこういうことです。
さっそく、描き始めましょう。
木炭が終わったら、ブルーの絵の具にぺトロールでジョブジャブ
溶いて木炭の上をなぞっていきます。
ブルーは、ウインザーブルーグリーンシェイド、レットシェイドやウルトラマリン系やセルリアンブルー系でもOKです。
青は後からは入らないので、始めに入れておきます。
青は、引っ込む色だからです。暖色は、前に出てくる色です。
または、青は空気の色でもあり、セザンヌも青のマッスを考慮するべきだといっていました。
私は、ウインザーアンドニュートンを主に、ブルーコンポーゼとコーラルレッドは、マツダスーパー絵具を使っています。
ホワイトは、ホルベインのジンク系、とシルバー系を主に、チタニュウム系も使います。この前、セラミックホワイトを使ってみました。無機質の真っ白で使い方によっては面白いと思いました。
ジンクホワイトは、木炭と混ざると素敵なグレー色になります。
濁らないグレーが欲しい場合は、ジンク+木炭を愛用しています。
ジンクは温かみのある白です。
最近は、クイックドライのホワイトがあり、早く乾かした時に混ぜて使っています。
つぎは、色を塗っていきます。
絵具は、チューブから出た時が一番鮮やかです。
派手派手になりますが、固有色を決めていきます。
トマトは赤、瓶は青、テーブルは茶、クロスは白と緑などそのまま塗っていきます。
赤などの暖色系、青などの寒色系、そして、それを接着するホワイトの分量を調整していきます。
赤いトマトばかりだとつまらないので、へたのところの緑を意識して描きます。実際にはありませんが、へたに緑の色を入れておきます。
トマト自体が、緑になるかもしれません。
緑のクロスと赤いトマトは補色関係になるのでギラギラします。黄色やコンポーゼで彩度を少し下げておきます。
反対方向のベクトルや、波紋に意識を忘れないでおきます。
ここで一日目は終わりです。
しかしながら、ここからナイフを使います。
いったん絵の具を取って、カンバスの目を出しておきます。
絵具がもったいないような気がしますが、気にせずにガリガリとやります。
なぜかというと、足し算ばかりでは甘くなるからです。
引き算を一回することで、初心にかえり、気分をリフレッシュすることができます。
カンバスの目は重要です。
下塗りをして目を出さないでツルツルして描く方法もありますが。
セザンヌの絵を見ていると、カンバスの目の重要さがわかります。
レイヤーとしての最背面を残しておくことが深みを増すことになります。
ナイフの線が残ると、構成を意識しながら確認することができます。
この構図は、斜め上からの視点なので、床の面が必要です。
ここで、一週間ほど乾かします。
乾いた後にまた、木炭で直していきます。
思い切って変更を加えることができるのが、油絵のいいところです。
絵具がかすんでいますが、気にしません。
ここでポイントは、構図は、まんべんなくいい配置にはしないことです。
なぜかというと、バランスがよくなりすぎると、動きがなくなり、静止します。
3点ほど気を付けます。
①簡単に言えば、混んでいるところと空いているところを作ることです。(緊張感を出す)
②上から下に突き抜ける色があることです。(一体感を出す)
③コンポジションを調整することです。(物が影響しあって波紋ができます)
トマトは、違う赤2色ととオレンジにします。
赤色でも変化をつけることで、面白くなります。
暖色系と寒色系の分量を合わせます。