紀元前2万年、洞窟で大型動物の脅威にさらされていた人類は、洞窟の壁に動物の絵を描いていました。
ラスコーの壁には、実物大の動物が描かれました。
この、壁画は楽しみで描かれたものではなく、洞窟の薄暗いはじっこの見えないところに描かれていました。
みんなに、見せたくて、装飾として描かれたわけではありません。
実に、隅っこに描かれていたので、発見されたのは、犬をつれてハイキング中の子供たちに、
なんと、
1940年に発見されたのです。
実に写実的で、狩りをするための祈りみたいなものでしょう。かなりの腕です。
旧石器時代は、このように万年単位ですが、私たちの祖先も、この中にいて、洞窟の中から、外を眺めていたのでしょう。
呪術の世界は、エジプトまで続きます。死者のための芸術です。
エジプトというと、みんな横向きで平面的なイメージがありますが、この、古王国時代の彫刻がありますが、
ここで、今日の問題があります。
「一歩踏み出す問題です」
ファラオとその妻の像ですが、ファラオが一歩踏み出しているのです。しかし、自立しているわけでなく、
台座に張り付いています。
彫刻は自立はしていませんでした。
ここまでは、紀元前3000年
そして、メソポタミアのシュメール人文明、そのあと、前1700年バビロニア人の王、ハンムラビは、有名な、法典を作りましたね。
「目には目を」
前1700年の言葉がいまだに残っているのは、この文明が非常に優れたものだからでしょう。
そして、彫刻もビックアイ、目がデカいのです。この目の存在は、神の目、現代でも目をテーマにした絵は、一分野ありますね。
アッシリア、ペルシア、と古代文明の正統派が続きますが、
ここで、同時にエーゲ海文明も起こります。
メソポタミアとは、全く違う海洋文明が並行的に起きていました。海の文明です。
前2000年から1000年間も
クレタ王ミノスの名をとって、ミノス文明そのあとのミュケイナイ文明と隆盛しました。
前1000年ころ、ギリシャ部族が、ミュケイナイを征服、ギリシャ文明がいよいよ始まります。
ギリシャ文明は、今まで神官や王、呪術師など、特別な階級の人々が作ってきたものでなく、
「一市民が芸術に参加するという新しい文明」でした。
すぐれた個人がそれぞれ社会に貢献するという、全く新しい文明です。
規律正しく明快、ソクラテスやプラトン実に知的で明解ですね。紀元前のこんなことをやっていたとは、信じられないですね。
その頃の日本では、まだ、人々は狩猟採集で細々と、生きているだけの時代です。
さて、紀元前600年ころの彫刻に、青年立像というのがあります。
エジプトで、台座にくっ付いて立っていた、彫刻が自立して歩き出しました。
それも、微笑みをたたえて。
エジプトの死者の芸術から、生きる芸術、生命感をもった彫刻が誕生したのです。
ギリシャでは、人間は神に似ていたのです。オリンピックで勝つ英雄は、神に近づいたことでしょう。
F130のAは、完成間近です。
中央の男性は、立ち上がって歩き始めました。