人はどんな絵を描いていくのでしょう。
絵を描く人生を送る人はさほど多くはありません。
途中で筆を折る人が大半です。
表現活動は、日々新しい感覚をキープできないと、
自己模倣を繰り返し、陳腐な絵を量産することになり、質は落ち、何より飽きてきちゃうのです。
何かを見て描くのは、基本に立ち返る唯一の方法です。
写真を絵にするのは、模倣であり、表現という範疇に入らないような気がします。
インパーソン、直接存在を感じ、あらゆる方向から見まわし、取り込んでから
出力する。
セザンヌやゴッホ、ムンクがたどった道、
この道は、きっと、人間と表現というところへ続いているのでしょう。
さて、
春の花は、それだけでウキウキするものです。
春の花の1回目、
絵具が重なっていけば行くほど完成に近づくのではなく、
その時その時の、一瞬の輝きをとらえるためには、
筆の速度を早めにした方がいいようです。
未完のような部分を残したほうが、生命感を感じられるのです。
ジャイアント馬場というプロレスラーがいました。
長身のレスラーで、アントニオ猪木と人気を二分していました。
そして、ジャイアント馬場は画家でもあったのです。
海の絵が好きで、とても良い絵です。
プロレスリングというフィジカルな世界、
その中で、精神性を求め.油絵を描き続けました。
ハワイの海にしずむ夕日の絵がありました。
その絵を描いて間もなく、彼は61歳でこの世を去りました。
夕日の絵を描くと間もなく死ぬのではないかと、
わたしは、描かないようにしています。
この前、散歩をしていたら、朝の風景が身に沁みました、
思うようにいかない人生ですが、
ハレの日を夢見て、
雲間の光に心躍らせました。
6月は、展覧会もあり忙しくなりそうです。