ボナールのマッス問題 駅員のいる群像⑥ 絵画の表現

 ボナールのマッス問題

ナビ派(預言者)に属すると考えられているボナールは、いいとこのお坊ちゃんで、法律を学び公務員を目指していた。

彼曰く、

私を絵に近づけたのは、芸術それ自体よりも、芸術的な生活である。

想像力と自由な表現、好きなように暮らせる自由がひきつけたと。

いかにも、お坊ちゃんらしいですね。

ポスターが賞を得、賞金100フランが手にはいり、自信を深めた。

ポスターといえばロートレック、ロートレックといえば世紀末、爛熟、怠惰。

ロートレック(1864~1901)ボナールは(1867~1947)と完全にダブっていた。

ボナールには世紀末感はあまりありませんね。ゴーガンから学んだ、単純さと滑らかな色面、

ジャポニズムに夢中になり、歌麿の模写など、装飾的な方向も模索した。

また、浮世絵のような大胆な画面構成、切り取りによる暗示など、屏風に隠されたものへの暗示を学んだ。

ルノアールからの手紙、

「アナタより優れた画家に、出会うだろうが、アナタはの才能は貴重だ、この芸術を続けるべきだ。」

ボナールといえばマルト10歳下ののちに妻となる。ボナール26歳マルト16歳での出会いから、画家のインスピレーションは冴えわたる。

直観、という名のベルグゾンの哲学の、一瞬一瞬のあやゆい芸術家の中で融合するという考え方は、見ている自然と、芸術家の経験が一瞬で結びつく感覚はかれの真骨頂でしょう。

世紀末ド真ん中にいながら、時流に影響されず、超然と戦争中も描き続ける。

ドランやマチスには関心を寄せず、ピカソのキュビズムなんて知らないようなそぶり、

ピカソをして、「優柔不断の寄せ集め」との批判にも、気にしなかったらしい。

 

ボナールの素敵なところは、目が喜ぶ色美しさと色価がばっちりあっていること。

ミモザの黄色も絵に入った後にゆれ、空気感が凄いし、赤紫のキレイなことと言ったらうっとりしますね。

この、色の量と重さ、空気を含んだ色がボナールの魅力です。

 

さて、今日の変更点は、人物を少し大きくしたこと、手前のストーブを単純な筒形に変更、それに伴って、人物も筒形をイメージして、少し膨らませた。

人物は描いていくとどうしても細くなるので、なるべく、太らせるようにしていかないと、針金みたくなったしまいがちですね。

後ろの駅員と老婆のを小さくして、表情を消しました。人物は表情をはっきりさせない方がいいようですね。

最後まで、この二人が残っているかどうかも疑問ですが。

単純化は現代人の欲求、色面の平板化も必要ですが、ボナールのような空気タップリの空間もいいですね。

 

 

 

 

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